東京為替見通し=ドル円のレンジ突破リスクに警戒、米国の対日圧力と仏暴動が波乱要因

 先週末の海外市場でドル円は、23時30分過ぎに一時157.70円と日通し安値を付けたが、2時前には一時158.34円と日通し高値を更新した。もっとも、米10年債利回りが5.06%台まで低下すると157.96円付近まで押し戻されている。ユーロドルは1.12ドル半ばから前半を中心に小動きだった。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、引き続きレンジ内での取引が中心となりそうだ。ただし、複数の要因が相場の急変につながるリスクをはらんでおり、警戒は怠れない。

 先週、市場が注目していた9月の米消費者物価指数(CPI)と卸売物価指数(PPI)は、ともに市場予想を上回り、米国のインフレ加速を示す結果となった。14日のCPI発表後には、米長期金利の指標とされる米10年債利回りが一時5.32%台まで上昇し、ドル円も158.95円まで連れ高となった。しかし、その後は米長期金利が上昇分を吐き出して低下に転じ、15日発表されたPPIも市場予想を大幅に上回ったにもかかわらず、金利の下落基調は止まらず、一時5.03%台まで低下した。インフレ指標の上振れがドル買いにつながらず、むしろ米金利が低下していることは、ドル円の上値を抑える要因となっている。

 シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づいて算出する「フェドウオッチ」によると、今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での金利据え置き確率は84%前後となっている。一方、12月に25ベーシスポイント(bp)の利上げが実施されるとの予想は77%超まで上昇している。11月3日に米中間選挙を控える中、FRB関係者も、緊急利上げを必要とするほどインフレが深刻化しているとは判断していないとみられる。12月に利上げが実施された場合、その後はエネルギー価格の高止まりが今後のインフレ指標にどの程度波及するかを見極める展開が想定される。

 この2週間、ドル円はレンジ取引に終始しているが、その上値を抑えているのは、日米の金融当局が円安や日本のリフレ政策に否定的な姿勢を示していることだ。18日に掲載された日経新聞のブラウン米財務次官インタビューでは、円安が再び進行した場合には「あらゆる手段を検討している」と明言した。本来であればリフレ政策を推進したい高市首相も、米国からの圧力を受け、今国会でリフレ政策を進めることには否定的な姿勢を示している。日本の「影の中銀総裁」や「影の財務相」とも揶揄されるベッセント米財務長官の意向に沿う政策運営が、円買い要因として市場に重くのしかかっている。

 さらに、先週、一時急落したAI関連株への投資懸念が高まるなど、米国の金融不安がくすぶっていることも、ドル売り要因となりそうだ。

 一方、週末にはフランスで抗議デモが拡大し、フランス政府が「暴力の激化」と表現する事態となった。少なくとも1200人が逮捕され、推定55万人が街頭に繰り出したとされる。フランスの財政・政治不安を背景に、本日も早朝からユーロ売り・ドル買いが進んでいる一方、ユーロ売り・円買いが同時に進むかどうかも見極める必要がある。ユーロ売りがドル買いと円買いのどちらに強く波及するかによっては、ドル円がこれまでのレンジを突破し、相場が急変するリスクもある。


(松井)
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