東京為替見通し=ドル円、イラン情勢や原油価格を注視しながら明日の日銀決定待ちか

 29日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、米国とイランの緊張の高まりを受けた有事のドル買いで163.91円まで上昇した後、FOMC声明やウォーシュFRB議長の発言を受けて、FRBの金融政策を巡る不透明感が高まったことで、163.23円まで日通し安値を更新した。ユーロドルは中東有事のドル買いで1.1375ドルまで下落後、FRBの金融政策運営を巡る不透明感の高まりを受けて1.1467ドルまで反発した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、米連邦公開市場委員会(FOMC)での政策金利据え置きで163円台で伸び悩む展開となっているものの、本日から明日にかけて開催される日銀金融政策決定会合での政策金利据え置き観測や米国とイランの交戦再開への警戒感などから底堅い展開が予想される。

 イラン情勢では、トランプ米大統領が、ヨルダンで米軍基地が攻撃されたことを受けて、イランに対して極めて厳しい報復措置を講じると改めて表明しており、本日も関連ヘッドラインには警戒しておきたい。

 FOMCでは、予想通りにFF金利(3.50-3.75%)の据え置きが、9対3の賛成多数で決定された。6月会合の据え置きは、全会一致(12対0)だったが、今回は3名(ハマック米クリーブランド連銀総裁、カシュカリ米ミネアポリス連銀総裁、ローガン米ダラス連銀総裁)が0.25%の利上げを主張した。

 ウォーシュFRB議長は、先日の議会証言では「インフレ抑制を許容することは決してしない」とタカ派的な見解を示していたが、昨日の記者会見では「インフレに関し心強いデータがいくつか出ており、しばらく状況を注視していく」とややハト派的な見解を示していた。そして、8月27-29日に開催されるジャクソンホールで重要な問題を提起したい、とも述べていた。
 
 今後は、本日発表される6月米PCEデフレーター(予想:前年比+3.7%)やダラス地区連銀が発表する「トリム平均」指標などで、米国のインフレ状況を見極めていくことになる。ウォーシュFRB議長は、4月の上院での承認公聴会で「私が重視している指標は、いわゆるトリム平均だ。私にとって最も重要なのは、地政学的な動向や牛肉価格の変動による一時的な価格変動ではなく、インフレの基礎的な水準だ」と述べていた。

 市場では、FOMC声明やウォーシュFRB議長の会見を受けて、FRBの金融政策運営を巡る不透明感が高まったと警戒感が高まり、米株式・債券・通貨が売られる「トリプル安」の様相が強まっており、一過性なのか否かを見極めていくことになる。

 また、シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」によると、9月FOMCでの利上げ確率が60%近くまで上昇しているが、11月の中間選挙を控えて、政治的思惑から利上げは難しいとの声もある。


(山下)
株式会社DZHフィナンシャルリサーチより提供している情報(以下「情報」といいます。)は、 情報提供を目的とするものであり、特定通貨の売買や、投資判断ならびに外国為替証拠金取引その他金融商品の投資勧誘を目的としたものではありません。 投資に関する最終決定はあくまでお客様ご自身の判断と責任において行ってください。情報の内容につきましては、弊社が正確性、確実性を保証するものではありません。 また、予告なしに内容を変更することがありますのでご注意ください。 商用目的で情報の内容を第三者へ提供、再配信を行うこと、独自に加工すること、複写もしくは加工したものを第三者に譲渡または使用させることは出来ません。 情報の内容によって生じた如何なる損害についても、弊社は一切の責任を負いません。