東京為替見通し=IMFルールが制約か、円買い介入はどこまで続くかが注目

 先週末の海外市場でドル円は、7月米雇用統計で非農業部門雇用者数が予想以上に減少したうえ、過去2カ月分の数値が下方修正されたことが分かると一時156.68円まで急落した。ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり、24時過ぎには157.99円付近まで下げ幅を縮めた。米長期金利が低下幅を縮めたことなどが相場を下支えした。ユーロドルは、米雇用統計の下振れをきっかけに全般ドル売りが優勢になると一時1.1581ドルと6月17日以来約1カ月半ぶりの高値を付けた。

 本日の東京市場でも、本邦為替当局による円買い介入を警戒しながら、米国とイランをめぐる和平協議の有無や報道で振れる展開になるだろう。また米国入り後は米長期金利が左右する相場展開になりそうだ。

 先週のドル円相場は、週初の3日に前週から続き3営業日連続となる円買い介入が行われ、ドル円は一時155.23円まで下げ幅を広げた。しかしながら、それ以後は高市政権の政策が財政悪化を避けられないとの見方に加え、米国への投資策などもあり、週末には158円半ばまで戻している。弱い米雇用統計発表後は急速に円が買い戻される場面もあったが、円売り意欲は非常に根強く、介入がなければファンダメンタルズ面で円売り意欲が根強いことを改めて示した格好となった。ゴールデンウイーク中の介入効果は実質的に数週間しか持たなかったことを踏まえると、今回も前回のように介入を手控えれば、再び円安基調に戻ることになりそうだ。

 また、介入に関して市場では、IMF(国際通貨基金)が各国の通貨制度を「自由変動相場制(Free Floating)」に分類するための統計上の定義を、本邦為替当局がどこまで遵守するのかに注目が集まっている。これまでの介入は、IMFが目安としている1回(1シリーズ)の定義である「連続する3営業日以内の介入」にとどまっている。しかし、もう一つの定義である「過去6カ月間の介入頻度が3回(3シリーズ)以内」という基準を、本邦為替当局が守ろうとするのかが今後の焦点となる。

 仮に早い段階で3シリーズ目の介入を行い、本邦為替当局がIMFの定義を守るのであれば、次回は4月30日から6カ月後まで介入を行えないことになる。本邦通貨当局がこの定義を超えて介入を行えば、市場は自ずと円売りを控える可能性が高い一方、IMFの定義を意識して介入を制限するのであれば、介入余力を意識した円売りが再び強まる可能性もある。今後の介入回数とタイミングが注目される。

 また、再び160円台まで円安が進んだ場合は、より大規模な介入を行わない限り、円高地合いに戻りにくいことも考えられる。ゴールデンウイーク中の介入と同様に、発射地点、つまり介入を開始する水準が遅くなればなるほど、円安の流れを止めることは難しくなるだろう。

 7月末からの介入は協調介入という意味を市場が大きく評価しており、加えてFIMAレポ・ファシリティを利用することで、ベッセント米財務長官が懸念している米国債売りを避けられることになった点も大きな意味を持つ。

 しかしながら、これまで通り介入を小出しにしている限り、市場への明確なメッセージにはなりにくい。米国が協調した意味についても、単に自国の長期債が売られるのを防ぐためだったと市場に受け止められれば、「米国も円安を積極的には止めない」とのメッセージとして捉えられる可能性もある。協調介入を円安抑制に向けた強いシグナルとして機能させられるのか、今後の本邦為替当局の対応が重要となる。
 
 米国債市場は、先週の弱い雇用統計発表後に買い戻される場面もあったが、引けにかけては再び売りに押された。市場ではウォーシュ米連邦準備理事会(FRB)議長に対する不信感が根強く、米国債が売られる局面では、本邦為替当局にとっても介入を行いやすい環境となることから、本日の米国債市場の動向にも注目しておきたい。

(松井)
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