東京為替見通し=ブレッシング書簡再び、米債防衛に軍事圧力?財政健全化策が焦点
昨日の海外市場でドル円は「米財務省高官は財務省一般勘定(TGA)に保管されている約1兆ドル規模の資金をバイバックに活用する可能性」との報道を受けて一時158.90円付近まで値を下げたものの、下押しは限定的で159円台前半まで持ち直した。ユーロドルは、ベッセント米財務長官がイランに対する新たな制裁措置を発表すると全般ドル買いが優勢となり、一時1.1655ドルと日通し安値を更新した。
本日の東京市場のドル円は、引き続き債券市場の動向に左右される相場展開となるだろう。また、円以外の通貨では、今月10-11日に行われた豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨が公表されることで、豪ドルの動きにも目を向けておきたい。
ベッセント米財務長官は、8月20日のインタビューなどで、「財政健全化(Fiscal Consolidation)に焦点を当てたイニシアチブを今週末から来週初め(8月下旬)にかけて発表する」と述べていた。昨日行われた会見などは、主に「対イラン経済制裁・圧力の強化策」に焦点を当てたものとなっており、市場が注目する「具体的な歳出削減・財政健全化パッケージ」の詳細については、引き続き同氏やヴォート行政管理予算局(OMB)局長らによる正式発表が待たれている状況だ。東京時間に発表される可能性もあるため、注意が必要だろう。
市場では、ベッセント氏が着任以来掲げている3-3-3戦略、すなわち「財政赤字の削減、GDP比3%目標」「実質GDP成長率3%の達成」「日量300万バレルの追加増産」が軸になるとみられている。ただ、市場はより具体的な戦略を期待している。一部では、不要不急の連邦予算の削減や不正支出対策(Fraud Task Force)など、具体的な計画が示されるとの見方もある。バイバックにとどまらず、制度面や歳出面から「米国は本気で財政赤字を抑制する」という強いシグナルを市場に送ることができるかが焦点となるだろう。
また、一部では日本などに対して米債の買い増しを要求する、もしくはすでに要求しているのかもしれない。22日、トランプ米大統領は記者から米債利回りの上昇について問われ、「究極の介入手段は、わが国の軍隊である。そして、もしそれを用いる必要があれば、そうするつもりだ。(The ultimate intervention is our military. And if we have to use that, we will.)」と回答している。トランプ大統領が債券市場にどれほど精通しているかは定かではないため、この発言の意図は分からない。
しかしながら、軍事的な圧力と米債は、これまでも無関係だったわけではない。1960年代、米国がベトナム戦争の泥沼化や社会保障費の増大などによって財政・国際収支問題を抱えた際、西ドイツに対して駐留経費を相殺しない場合は駐留軍を削減・撤退させるとの圧力をかけた。これに対し、西ドイツは米国の財政・国際収支問題を支えるため、保有するドルを金に交換することを控える姿勢を示した。これが、いわゆる「ブレッシング書簡」だ。ベトナム戦争をイラン戦争に、金を米債に、西ドイツを日本に置き換えると、今回のトランプ大統領の発言も、軍事的な圧力を背景とした他国への米債購入への圧力という意味なのかもしれない。
ただ、日本が米債を買うことによってドル高・円安が進むのであれば、日本にとってはデメリットも大きくなる。そのため、円安を防ぐために7月末からの為替介入で示したように日米が協調し、FIMAレポ・ファシリティを利用することで、米債購入による円安を相殺しようとしている可能性も考えられる。
円以外の通貨では、日本時間の午前に今月行われたRBA理事会の議事要旨が公表される。据え置きに至った具体的な議論のプロセスや、今後の追加利上げの余地についてどのような見解が交わされたのかが、改めて精査されることになるだろう。また、日本時間午後にはジェイコブスRBA国内市場局長による講演も予定されている。金融市場の流動性や足元の金利推移について発言があれば、豪ドルが動意づく可能性がある。
(松井)
本日の東京市場のドル円は、引き続き債券市場の動向に左右される相場展開となるだろう。また、円以外の通貨では、今月10-11日に行われた豪準備銀行(RBA)理事会の議事要旨が公表されることで、豪ドルの動きにも目を向けておきたい。
ベッセント米財務長官は、8月20日のインタビューなどで、「財政健全化(Fiscal Consolidation)に焦点を当てたイニシアチブを今週末から来週初め(8月下旬)にかけて発表する」と述べていた。昨日行われた会見などは、主に「対イラン経済制裁・圧力の強化策」に焦点を当てたものとなっており、市場が注目する「具体的な歳出削減・財政健全化パッケージ」の詳細については、引き続き同氏やヴォート行政管理予算局(OMB)局長らによる正式発表が待たれている状況だ。東京時間に発表される可能性もあるため、注意が必要だろう。
市場では、ベッセント氏が着任以来掲げている3-3-3戦略、すなわち「財政赤字の削減、GDP比3%目標」「実質GDP成長率3%の達成」「日量300万バレルの追加増産」が軸になるとみられている。ただ、市場はより具体的な戦略を期待している。一部では、不要不急の連邦予算の削減や不正支出対策(Fraud Task Force)など、具体的な計画が示されるとの見方もある。バイバックにとどまらず、制度面や歳出面から「米国は本気で財政赤字を抑制する」という強いシグナルを市場に送ることができるかが焦点となるだろう。
また、一部では日本などに対して米債の買い増しを要求する、もしくはすでに要求しているのかもしれない。22日、トランプ米大統領は記者から米債利回りの上昇について問われ、「究極の介入手段は、わが国の軍隊である。そして、もしそれを用いる必要があれば、そうするつもりだ。(The ultimate intervention is our military. And if we have to use that, we will.)」と回答している。トランプ大統領が債券市場にどれほど精通しているかは定かではないため、この発言の意図は分からない。
しかしながら、軍事的な圧力と米債は、これまでも無関係だったわけではない。1960年代、米国がベトナム戦争の泥沼化や社会保障費の増大などによって財政・国際収支問題を抱えた際、西ドイツに対して駐留経費を相殺しない場合は駐留軍を削減・撤退させるとの圧力をかけた。これに対し、西ドイツは米国の財政・国際収支問題を支えるため、保有するドルを金に交換することを控える姿勢を示した。これが、いわゆる「ブレッシング書簡」だ。ベトナム戦争をイラン戦争に、金を米債に、西ドイツを日本に置き換えると、今回のトランプ大統領の発言も、軍事的な圧力を背景とした他国への米債購入への圧力という意味なのかもしれない。
ただ、日本が米債を買うことによってドル高・円安が進むのであれば、日本にとってはデメリットも大きくなる。そのため、円安を防ぐために7月末からの為替介入で示したように日米が協調し、FIMAレポ・ファシリティを利用することで、米債購入による円安を相殺しようとしている可能性も考えられる。
円以外の通貨では、日本時間の午前に今月行われたRBA理事会の議事要旨が公表される。据え置きに至った具体的な議論のプロセスや、今後の追加利上げの余地についてどのような見解が交わされたのかが、改めて精査されることになるだろう。また、日本時間午後にはジェイコブスRBA国内市場局長による講演も予定されている。金融市場の流動性や足元の金利推移について発言があれば、豪ドルが動意づく可能性がある。
(松井)