東京為替見通し=ドル円、植田日銀総裁講演での金融政策への言及に要警戒か

 5日のニューヨーク外国為替市場でドル円は、「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は9月会合で基本ポートフォリオ検証の議論はしなかった」との報道を受けて158.30円まで上昇したものの、米10年債利回りが上昇幅を縮めたことなどで伸び悩んだ。ユーロドルは、アジア時間で一時1.1161ドルと昨年5月以来の安値を付けた後は、1.1225ドル付近まで切り返した。

 本日の東京外国為替市場のドル円は、日米の長期金利の動向を注視しながら、15時35分から予定されている植田日銀総裁の全国証券大会での講演での金融政策への言及に注目することになる。

 昨日は、高市首相が所信表明演説で、市場が想定外の動きを示した場合は「必要な対応を機動的に講じる」と述べ、政権発足以降に進んだ円安・金利上昇に対する配慮を前面に出しており、円安抑制材料となる。

 一方、「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は9月会合で基本ポートフォリオ検証の議論はしなかった」と報じられたことは、円安材料となる。

 本日は、ドル円の上値は、1日の高値158.45円や200日移動平均線の158.51円、下値は2日の安値156.95円や日足一目均衡表・基準線の156.64円を念頭に置き、植田日銀総裁の講演を見極めていきたい。

 植田日銀総裁や日銀の政策委員は、これまでの利上げ局面において、日銀金融政策決定会合の前の講演を通じて、賃金動向や国債市場の機能度に関するメッセージを発信する傾向があった。
 現在、12月の日銀金融政策決定会合での追加利上げはほぼ織り込まれているが、10月も政府補助金の終了などで物価上昇が見込まれるため、連続利上げがあるのではないかと警戒する向きもあるため、植田日銀総裁の見解が注目されている。

 本日の講演では、植田日銀総裁が9月会合の後の会見で、「政策局面が変化」が「利上げペースの加速」の背景と述べたことに続いて、10月あるいは12月会合での利上げに言及するのか、あるいは、産業全般の話題にとどまるのか、注目しておきたい。

 タカ派的な材料としては、先日発表された9月の東京都区部CPIが前年比+2.7%、8月の特殊要因を除くコアCPIが前年比+2.6%となるなど、物価上昇圧力が根強いことが挙げられる。

 一方、ハト派的な材料としては、植田日銀総裁が先日、「大きな幅の利上げとか何回も連続して利上げするというようなことは、物価が目標を超えてものすごい上がっていくというリスクが高いか、あるいは既に目標を超えちゃっているかというようなことに依存する」と述べ、連続利上げに慎重な見解を示していたことなどが挙げられる。

 そのため、本日の講演では、追加利上げそのものへの言及だけでなく、物価上昇に対する評価や、今後の利上げペースについてどの程度踏み込んだ発言をするかが重要となる。植田総裁が早期の追加利上げや利上げペースの加速を意識させる発言をすれば円買いが強まりやすい一方、これまでの慎重姿勢を維持すれば、日米金利差を意識したドル買いが再び強まる可能性がある。

(山下)
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