NY為替見通し=ドル円、米雇用統計より中間選挙後の政治動向に注目
本日のNY市場では、引き続き値幅を伴いながら神経質な展開が予想される。経済指標では、通常であれば市場を最も大きく動意づける米雇用統計が発表される。ただ、今回は米中間選挙の結果を受けた政治情勢の変化が市場の大きな関心事となっており、雇用統計に対する反応は一時的にとどまる可能性もありそうだ。
これまで為替市場では、株式市場が大幅安となれば、リスク回避の円買いが進むのが定石だった。しかし、本日は早朝こそ円買いの勢いが強かったものの、その後は円買いが続かず、欧州勢の参入後には158円台までドル高・円安が進んでいる。円買い・円売りのいずれにも一方向に傾かない背景には、今後の米国の政治情勢が複雑化し、その行方を予測することが難しくなっていることがある。
円買い・ドル売りを促す材料としては、米長期金利が低下傾向にあることが挙げられる。中間選挙後、トランプ米大統領とバンス米副大統領は、ともに選挙で敗因としてイラン戦争を挙げている。民主党は、ブルーウェーブが実現した場合、イランとの早期和平を進める方針を掲げていたことから、今後は和平交渉への期待を背景に原油先物価格の上値が徐々に抑えられる可能性がある。さらに、これまでイスラエルの意向を過度に重視してきたトランプ大統領も、中間選挙を前にイスラエルと距離を置こうとする姿勢を見せ始めている。こうした変化も、イラン戦争の和平プロセスが進展する可能性を高める要因となりそうだ。
原油安に加え、ブルーウェーブによってトランプ大統領が進めようとしていた拡張的な財政政策にも歯止めがかかる可能性がある。財政悪化への懸念が後退すれば、米国債売りの勢いも弱まり、米長期金利の低下を促すことになるだろう。
一方、円売り・ドル買いを促す材料もある。米国では拡張的な財政政策が修正される可能性が高まっているのに対し、本邦では財政拡大路線が改めて意識されている。また、これまで多くの米国の同盟国首脳がトランプ大統領と一定の距離を置いてきたのに対し、高市首相だけが過度にトランプ寄りの姿勢を貫いてきたことも懸念材料となる。さらに、これまで対中強硬姿勢を示してきたトランプ大統領が、中間選挙を前に中国に歩み寄る姿勢を見せた一方、高市首相は対中強硬姿勢を鮮明にしている。米国の対中政策が変化する中で、日本だけが取り残され、外交的に孤立するリスクも意識されやすく、こうした懸念は円売りにつながる可能性がある。
なお、本日は10月の米雇用統計が発表される。失業率は前回と同じ4.2%、非農業部門雇用者数は前回から増加するとの予想になっている。結果次第では市場が反応するだろうが、現在は米国の政治情勢という、より大きなテーマに市場の関心が傾いている。雇用統計を受けた値動きも、持続性を欠く可能性がありそうだ。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、3日高値158.77円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値めどは、30日安値156.96円。
(松井)
これまで為替市場では、株式市場が大幅安となれば、リスク回避の円買いが進むのが定石だった。しかし、本日は早朝こそ円買いの勢いが強かったものの、その後は円買いが続かず、欧州勢の参入後には158円台までドル高・円安が進んでいる。円買い・円売りのいずれにも一方向に傾かない背景には、今後の米国の政治情勢が複雑化し、その行方を予測することが難しくなっていることがある。
円買い・ドル売りを促す材料としては、米長期金利が低下傾向にあることが挙げられる。中間選挙後、トランプ米大統領とバンス米副大統領は、ともに選挙で敗因としてイラン戦争を挙げている。民主党は、ブルーウェーブが実現した場合、イランとの早期和平を進める方針を掲げていたことから、今後は和平交渉への期待を背景に原油先物価格の上値が徐々に抑えられる可能性がある。さらに、これまでイスラエルの意向を過度に重視してきたトランプ大統領も、中間選挙を前にイスラエルと距離を置こうとする姿勢を見せ始めている。こうした変化も、イラン戦争の和平プロセスが進展する可能性を高める要因となりそうだ。
原油安に加え、ブルーウェーブによってトランプ大統領が進めようとしていた拡張的な財政政策にも歯止めがかかる可能性がある。財政悪化への懸念が後退すれば、米国債売りの勢いも弱まり、米長期金利の低下を促すことになるだろう。
一方、円売り・ドル買いを促す材料もある。米国では拡張的な財政政策が修正される可能性が高まっているのに対し、本邦では財政拡大路線が改めて意識されている。また、これまで多くの米国の同盟国首脳がトランプ大統領と一定の距離を置いてきたのに対し、高市首相だけが過度にトランプ寄りの姿勢を貫いてきたことも懸念材料となる。さらに、これまで対中強硬姿勢を示してきたトランプ大統領が、中間選挙を前に中国に歩み寄る姿勢を見せた一方、高市首相は対中強硬姿勢を鮮明にしている。米国の対中政策が変化する中で、日本だけが取り残され、外交的に孤立するリスクも意識されやすく、こうした懸念は円売りにつながる可能性がある。
なお、本日は10月の米雇用統計が発表される。失業率は前回と同じ4.2%、非農業部門雇用者数は前回から増加するとの予想になっている。結果次第では市場が反応するだろうが、現在は米国の政治情勢という、より大きなテーマに市場の関心が傾いている。雇用統計を受けた値動きも、持続性を欠く可能性がありそうだ。
・想定レンジ上限
ドル円の上値めどは、3日高値158.77円。
・想定レンジ下限
ドル円の下値めどは、30日安値156.96円。
(松井)
